トラック・バス・タクシーの運転者の就職を評価する 制度を創設へ

2019/08/20

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トラック・バス・タクシーといった自動車運転業は、人手不足が深刻化しています。

人手不足になる原因はさまざまですが、求職者が「長時間労働にならないか」「休憩はしっかり取れるのか」など不安を抱えていることも一因です。

国土交通省から「トラック・バス・タクシー事業者の取組状況を「見える化」するための認証制度について検討会報告書」の公開がありましたが、難しい言葉が並んでおり、すぐに理解するのは困難でしょう。

ですが、この認証制度を活用すれば、第三者機関より認証マークを受けることができるため、トラック・バス・タクシーの事業者では積極的に利用し、ホワイト企業であることをアピールすることでき、求人の効率化にもつながります。

この就職を評価する新制度では何をすればいいのか、順を追って4つのポイントを押さえておきます。

創設された制度【概要】

まずは、創設された「トラック・バス・タクシー事業者の取組状況を「見える化」するための認証制度」がどのような制度であるのか、概要を理解する必要があります。

国土交通省の資料では難しく書かれてはいますが、押さえるべきポイントは、たったの3つです。

創設された制度の名称

創設された制度は、国土交通省のホームページ上では「トラック・バス・タクシー事業者の取組状況を「見える化」するための認証制度」と表現されていますが、運用時には『運転者職場環境良好度認証制度』と呼ばれます。

愛称や認証マークは、現段階ではまだ決まっていませんが、第三者機関として認証する団体が決定された後、検討される予定です。

制度の利用は強制ではない

創設された「運転者職場環境良好度認証制度」は、トラック・バス・タクシーの事業者に強制されるものではなく、任意で利用するものです。

そのため今すぐに認証マーク取得に向けて動く義務はありませんが、今後運転者職場環境良好度認証制度の利用が業界に広まると、取り残されてしまう恐れがあります。

一つ星から三つ星で評価される

運転者職場環境良好度認証制度で認証を受けると、一つ星、二つ星、三つ星の3段階で評価されます。三つ星が最高ランクとなっており、取得もより「求職者に優しい職場環境か」を見られるチェックシートがあります。

https://www.mlit.go.jp/common/001294869.pdf

例えば「運転者の時間外労働の合計時間の実績は一定時間以内か」という旨の項目がありますが、三つ星を取得するためには年960時間以内であることが条件です。客観的にもやむをえない事情で超過してしまった場合には、それを証明する書類を提出せねばなりません。

一つ星や二つ星でも同様の項目はありますが、加点項目であるものの、必須事項ではない点が大きな違いです。星を落とさないためにも、規定事項を順守できているか、慎重な確認を要すると言えます。

また初回申請時には条件を満たしていても一つ星以外は取得できず、翌年度から申請をして再調査してもらう必要があることも覚えておくべきです。それゆえに、早い段階で運転者職場環境良好度認証制度を利用し始めることが大切になっています。

運転者職場環境良好度認証制度は加点方式

先の項目でも少し触れましたが、運転者職場環境良好度認証制度は加点方式を採用しており、十分な点数を得られない・必須事項を満たしていないと、申請しても認証マークを取得することができません。一つ星でも事業者が順守しておかねばならない条件は22項目(タクシーの場合24項目)存在しており、悪質な業者が認証マークを入手することを阻止する目的を持たせています。

必須となる項目は、国土交通省の認証項目のファイルより詳細が確認できるため、必ず確認すべきです。

https://www.mlit.go.jp/common/001294869.pdf

トラック・バス・タクシーで必要な点数は異なる

トラック・バス・タクシーどの事業を行っているのかにより、認証マーク取得に必要な加点数が異なります。またバスでも貸切バスと乗合バスでは基準点数が異なるため、業務形態にも注意が必要と言えます。

一つ星の場合

  • トラック 53点以上
  • 貸切バス 52点以上
  • 乗合バス 39点以上
  • タクシー 37点以上

一つ星の場合、業界上位50%の水準を満たす基準点を設定しているため、今後基準点が上がる可能性も十分にあります。また事業により基準点に大きな開きがありますが、これは各事業で「働き方」「認証項目」が異なるため、別事業とは単純に比較することができません。ただし同業他社であれば働き方も認証項目も変わりがないため、優劣を図ることはできるでしょう。

認証の有効期間と取り消し措置

運転者職場環境良好度認証制度の認証マークを取得しても安心することはできず、「有効期間」と「取り消し」について知っておく必要があります。知らずに事業を継続すると、うっかり失効や取り消し処分を受ける場合もあるので、注意が必要です。

有効期間は当面2年間

運転者職場環境良好度認証制度の有効期間は「当面2年間」と定められています。制度自体がまだ発表段階ですので、今後の運用しだいでは有効期間が変動する可能性もある点に注意してください。

認証マークが取り消しになる場合

認証マークは、次のような場合に取り消しとなります。

  • 基準点を満たさなくなった
  • 虚偽の真性が疑われ期限までに対応できなかった
  • 必須項目の条件を満たさない不適切事業者になった
  • 必須項目に対して行政処分を受けた
  • 自ら認証辞退をした
  • その他認証実施団体が定める取り消し基準に該当した

以上6点の場合に、認証マークが取り消しとなってしまいます。

トラック・バス・タクシー事業者にメリットはあるのか

創設された運転者職場環境良好度認証制度は、トラック・バス・タクシーの事業者にとって、用意しなくてはならない書類も多く、認定項目も多いため、導入しなくてもよいと感じるかもしれません。ですが、各事業者にとってのメリットも用意されているため、申し込み開始と同時にでも審査開始してもらえるよう、今から準備をしておくべきと言えます。

各種インセンティブ

認証マークを受けることができた事業者には、各種インセンティブが用意されています。

決まっているもの

  • 認証実施団体ホームページへの記載
  • 事業者のホームページや営業所へ認証マークの掲示許可
  • 求人票への記載

検討中のもの

  • 補助金の優先採択
  • ハローワーク内での認証制度や認証事業者の周知
  • 一般監査の「長期間監査未実施」項目の除外

「認証されている事業者である」ことを広くアピールできることになるため、求人において心強い制度になることでしょう。

人手不足は認証マークの有無が鍵

トラック・バス・タクシー事業者で人手不足に悩んでいるのであれば、ホワイト企業であることを第三者機関が証明してくれる運転者職場環境良好度認証制度が有効です。インセンティブもあるため、手間や準備費用ばかりかかる制度でないのもわかります。

すでに求人票への記載は講じられる策として決まっているものですので、認証マークの有無で人材流入の数が決まってくると言っても過言ではないでしょう。

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