観光バスとは切っても切り離せない国土交通省から、事故防止対策支援推進事業として、観光バスを含めた自動車運送事業者に対する支援が実施されています。また観光庁の予算
概要も出てきており、増え続ける訪日観光客に対するサービス満足度向上が求められてい
るところです。
観光バス業界は、単発の支援だけでなく、見渡せば数々の省庁から予算が出ており、集客力を高めるチャンスにもなってきています。
今回は、もっとも注目したい予算の概要や、補助事業の内容を解説します。
2019年度、観光庁を中心とした予算としては500億円もの準備がなされています。これらは、増え続ける訪日観光客へ向けたサービス提供をするための予算であり、「ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備」に223.7億円、「我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化」に51.5億円、「地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上」に224.8億円の計500億円です。
また、国土交通省を中心とした予算としては補助金として、「先進安全自動車(ASV)の導入に対する支援」を行っており、観光バスは1車両あたり20万円を上限として受け取ることもできます。ほかにも国土交通省では「事故防止対策支援推進事業」を行っており、9月現在の予算残額は1億7千2百万円です。
先進安全自動車(ASV)の導入に対する支援という補助金制度は、簡単に言ってしまうと「観光バスを安全に運転するためのシステム」を導入する際に利用できる補助金です。例えば、居眠り運転でふらつきを検知した際に警報を鳴らすシステムも、ASVと呼ばれるシステムのひとつになっています。この補助金制度では、次のようなものに補助金が交付されます。
観光バスに関係があるのは、大きく分けて以上5つの項目です。仮に「衝突被害軽減ブレーキ」を導入したのであれば、中小企業以外の観光バス企業であれば、1車両あたり補助率が1/3かつ補助上限が10万円ですので、上限いっぱいの10万円を受け取る場合には、30万円以上の設備投資が必要になります。観光バスは貸切バスの分類であるため、中小企業の場合には、これらの補助を受け取ることはできませんが、補助金を受け取れる事業者であれば、複数の設備を導入し、1車両あたり最大20万円まで補助金を受け取る権利が生まれます。
事故防止対策支援推進事業とは、ASV導入が機械的な導入だけにおける補助金だったのに対し、観光バス事業者として事故を防止する対策を講じた場合に受け取れる補助金です。
「運行管理の高度化に対する支援」「過労運転防止のための先進的な取り組みに対する支援」「社内安全教育の実施に対する支援」を主体として成り立っており、観光バスの事故で社の評判を落とすだけでなく、観光業界全体が増え続ける訪日観光客から避けられるのを防ぐ目的も持っているでしょう。
デジタル式運行記録計とドライブレコーダー(もしくは一体型のもの)を導入した場合に受け取れる補助金で、事業者あたり最大80万円に設定されています。夜行バスの悲惨な事故もありましたので、観光バスにも積極的な導入が求められているものです。
観光バスは超時間の運行になることや、事業者の本拠地から遠く離れて運転をしていることも珍しくありません。そのため、運転者の居眠りや過労運転を防止する策を講じた場合に、補助金が受け取れるものです。
例えば、「ITを活用した遠隔地における点呼機器」というものも対象になっていますが、いずれも国土交通大臣が認定した機器である必要があるため、国土交通大臣が認定していない“スマホのテレビ電話機能”で点呼をとっていても、認められない点に注意が必要です。
国土交通大臣が認定した、コンサルメニューを受けるともらえる補助金で、社内安全防止に役立つコンサルティングを行ってくれるものです。認定されているコンサルティング事業者の詳細は、PDFファイルをご確認ください。
例えば、観光バスにドライブレコーダーを取り付けたはいいものの、活用方法がわからない、またドライブレコーダーを導入するならば観光バスではどのような運用が好ましいのかなど、コンサルティングを行ってくれる事業者もあります。コンサルティングは、通常高額な費用がかかるものですので、補助金を活用し社内の安全を向上させると良いでしょう。
訪日観光客は年々増加しており、観光バスの需要も高まっています。日本人だけでなく外国人にも観光バスが利用されるからこそ、万全の安全対策を施し、日本を満喫して帰ってもらうことで、次の観光客需要も見込めます。逆に、ずさんな安全管理で日本に悪い印象を与えてしまっては、観光業界自体が衰退してしまうでしょう。
各種安全対策を施すためには投資も必要となりますが、投資額を最小限に抑えられるのが補助金制度です。補助金を活用し観光バスの安全性を高め、訪日観光客の満足度向上も狙いましょう。