自動車運送事業業界において残業代をめぐるトラブルや交通マナーなどによって裁判になるケースが少なくありません。それに伴い、自動車運送事業における就業規則の重要性が再認識され始めてきています。
そこで、本記事では自動車運送事業の就業規則の必要性や作成ポイントについて徹底解説していきます。
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そもそも就業規則とは?
就業規則は賃金や労働時間などの労働条件や守らなければならない会社のルールなどがまとめられた規則です。
従業員を雇って会社を経営していく際、従業員と会社の間で条件やルールを明確に認識するために作成します。
就業規則には何が書かれているの?
就業規則は3つの記載事項から成り立っています。
- 絶対的必要記載事項:記載が必要な項目
- 相対的必要記載事項:会社の判断で制度を設ける場合に記載する項目
- 任意的記載事項:会社が任意で記載する項目
絶対的必要記載事項
絶対的必要記載事項は就業規則に必ず書かなければならない項目です。記載内容は下記の10項目。
- 始業時間と終業時間
- 休憩時間と休憩時刻
- 休日
- 休暇
- 交替制勤務の場合は就業時転換に関する事項
- 賃金の決定、計算方法と支払い方法
- 賃金の締め日と支払日
- 昇給に関する事項
- 退職に関する事項
- 解雇事由
就業規則は労働基準法で定められているため言葉が難しいのがネックですが、実際は簡単なことしか書かれていません。下記が訳した内容となります。
- 何時に仕事が始まって、何時に終わるのか
- 休憩時間は何時からどれくらいの時間取らなければならないのか
- 休日はいつなのか
- 有給休暇や病気休暇などの日数や取り方について
- シフト制などの場合、交替のローテンション方法について
- 給料をどうやって計算するのか、そしてどうやって支払われるのか
- 給料がいつ締められて、いつ支払われるのか
- 給料はどうやったら上がるのか(昇給)
- 退職する時のルール
- 解雇する条件
仕事をしていく上で大切な内容が難しく書かれているのが就業規則です。作成の際に難しく感じたら、
- いつどれくらいの時間働いて、どうやって給料が貰えるのか。
- もし会社を辞める時はいつ会社に報告すれば良いのか。
- もしこんな問題を起こしてしまったら解雇されてしまいます。
上記をポイントに絶対的必要記載事項を記載すると、何を記載するべきかが見えてきます。
相対的必要記載事項
一方、相対的必要記載事項は退職手当や賞与、職業訓練などを会社が制度として定めている場合に書く必要があります。
- 退職手当に関する事項
– 退職金が出るのかどうか、退職金の受給条件 - 食費や作業に必要な備品の負担について
– 拘束時間中の食費や業務に使用する備品の費用負担はどうするのか - 表彰、制裁に関する事項
– 社内の表彰制度や懲戒について
たとえば、無事故無違反に関する表彰制度を設けた場合、「無事故無違反を5年連続達成した場合には表彰される」という内容も就業規則に書いておく必要があります。
絶対的必要記載事項には記載していないけど、従業員にルールとして従ってもらいたいものは、相対的必要記載事項に記載しください。
任意的記載事項
任意的記載事項は会社の判断で記載するかどうかを決めることができる項目です。たとえば、企業理念や従業員の心得などが挙げられます。
任意的記載事項は文字通り「任意」の記載事項のため、該当がなければ書く必要はありません。
就業規則は絶対に必要?
就業規則の作成義務は労働基準法で次のように定められています。
従業員が10人未満なら必要なし
就業規則は労働基準法によって定められており、従業員が10人以上いる会社は就業規則の作成義務があります。さらに、管轄の労働基準監督署に提出をしなければなりません。
しかし、従業員が10人未満の場合は就業規則の作成義務はなく、労働基準監督署への届け出も必要ありません。
また、従業員の数え方についてですが、会社全体ではなく事業所ごとの単位となります。
たとえば、本社に5名、大阪営業所に3名、名古屋営業所に4名在籍している場合、合計で12名の社員が働いていることになりますが、事業所単位では10名未満となるため、就業規則の作成義務はありません。
そして、従業員の数は正社員だけでなく、パートタイマーや契約社員など非正規の社員も含みます。
ただし、派遣社員は、派遣会社(派遣元)が雇用している労働者ですから、派遣先では「常時10人以上の労働者」に含みません。
10人未満でも就業規則を作るべき理由
通常、10人未満の場合は就業規則の作成義務はありませんが、会社と労働者を守るためには10人未満でも就業規則を作った方が良いのは間違いありません。
理由1.トラブルが起きた時に会社を守れる
従業員が会社のルールを破った場合、そのルールが明確に定められているかがポイントとなります。
たとえば、従業員が業務中に飲酒運転を行った場合、その従業員を解雇したくても就業規則で『業務中に飲酒運転を行った場合、解雇とする』の文言が入っていなければ、その従業員を解雇することができません。
「やめてやるから退職金をよこせ」など金銭的な要求が発生すれば、さらなる面倒ごとになるのは目に見えていますよね。
しかし、就業規則に「業務中に飲酒運転を行った場合、解雇とする」と記載しておけば、ルール違反を起こした従業員を解雇することが法律上認められます。
会社と従業員の間でルールを共有しておき、万が一ルールを守れない場合はどうなるのか、しっかりと就業規則で規定しておくことで、トラブルをスムーズに解決できます。
理由2.会社の秩序を守れる
会社を経営していく中で従業員を管理する義務があります。
たとえば、会社名が入ったトラックやタクシーで違法駐車や煽り運転などをすれば、すぐに通報されてしまい、会社の社会的信用が下がることは明らかです。
そのため、会社のルールや交通ルール、マナーの遵守を従業員に指導する必要があり、会社の秩序を守るため、あらかじめ従業員に対して会社の規則やルールを共有することが重要です。
理由3.会社の利益を守れる
「会社の利益を守る」というのはあいまいな表現になってしまいますが、簡単に言うと個人情報や業務中に得た情報を外部に漏らしてはいけないということです。
たとえば、取引先の情報を従業員が第三者に漏らしてしまい、取引先に大きな迷惑をかけてしまったという事例もあります。
そのような場合、取引先だけでなく会社にも大きなダメージとなってしまい、損害を受けることになります。
そのため、会社の利益を守るという意味では、第三者に漏らしてはいけない情報とは何かを明確にした上で書類の扱い方やパソコンの使用方法などを規定しておくことで、結果的に会社の利益を守ることに繋がります。
理由4.企業としての責任を果たすため
そして、企業としての責任という観点では主にパワハラやセクハラなどが挙げられます。近年、パワハラやセクハラの被害が拡大しており、社会問題になりつつあります。
そのため、会社が従業員を守るためにも、パワハラやセクハラに対する規則をしっかりと定める必要があります。
運送事業は従業員の拘束時間が長くなってしまうため、特に就業規則を作っておくべき
トラックやバス、タクシーなどの運送事業者は、他の業界と比較して拘束時間が長くなってしまう傾向にあります。
その日のルートやノルマ、交通状況など様々な要因が考えられますが、いずれの場合でも「始業時間と終業時間、賃金の計算方法」が書かれていなければ、従業員と給料についてトラブルになってしまうことも珍しくありません。
実際、運送業界では拘束時間による残業代をめぐった裁判も珍しくありません。このような背景には就業規則が作られていないことが挙げられます。
就業規則の中で『労働時間』と『労働時間を超過した時間についての賃金』をどのようにするのかを明確にしておくことで、運送事業でありがちな従業員とのトラブルを未然に防げますので、10人未満の事業者も作成しておくべきだと言えるわけです。
具体的な例を見てみましょう。
規定労働時間:8時間
休憩時間:1時間
Aさんが会社を出たのが午前7時で会社に戻ってきたのが午後7時であれば12時間の拘束時間となります。
12時間(拘束時間)-8時間(規定労働時間)-1時間(休憩時間)=3時間(超過分)
あらかじめ規定されていた労働時間を超過した3時間分について給料がどのように計算されるのかをしっかりと定めておく必要があります。最悪の場合、従業員からの請求に応じなければなりませんからね。
就業規則の作り方(テンプレート付き)
ここからは『絶対的必要記載事項』『相対的必要記載事項』『任意的記載事項』について、それぞれどのような内容を記載することで法的効力を持った就業規則になるのか、その具体的な作り方について解説していきます。
社会保険労務士に依頼せず自社だけで就業規則を作る場合は、ぜひ参考にしてください。
絶対的必要記載事項の作り方
就業規則を作成する際、法律に違反しないことが大前提です。そのため、法律に違反した内容が就業規則に記載されていても法的効力はありません。
絶対的必要記載事項の各項目のテンプレート(雛型)を用意いたしましたので、そちらを参考に作成ください。
労働時間および休憩時間のテンプレート
第○○条 労働時間は、1週間については40時間、1日については8時間とする。
2 始業・終業の時刻及び休憩時間は、次のとおりとする。ただし、業務の都合その他やむを得ない事情により、これらを繰り上げ、又は繰り下げることがある。この場合、前日までに労働者に通知する。
①一般勤務
始業時間 午前__時__分
終業時間 午後__時__分
休憩時間 __時__分から__時__分まで
②交替勤務
(イ)
始業時間 午前__時__分
終業時間 午後__時__分
休憩時間 __時__分から__時__分まで
(ロ)
始業時間 午前__時__分
終業時間 午後__時__分
休憩時間 __時__分から__時__分まで
(ハ)
始業時間 午前__時__分
終業時間 午後__時__分
休憩時間 __時__分から__時__分まで
3 交替勤務における各労働者の勤務は、別に定めるシフト表により、前月の__日までに各労働者に通知する。
4 交替勤務における就業番は原則として_日ごとに_番を_番に、_番を_番に、_番を_番に転換する。
5 一般勤務から交替勤務へ、交替勤務から一般勤務への勤務形態の変更は、原則として休日又は非番明けに行うものとし、前月の_日前までに___が労働者に通知する。
『労働時間および休憩時間』では労働者の労働時間と休憩時間について記載しなければなりません。また、項目の3~5については交替勤務やシフト勤務を導入している会社のみ対象となります。
休憩時間について、通常であれば労働者一斉休憩付与が義務付けられています。しかし、例外として運輸交通事業者については一斉に休憩を与えなくても良いと定められています。そのため、自動車運送事業の方は目安の休憩時間を記載しておけば問題ありません。
※運輸交通事業者:道路、鉄道、軌道、索道、船舶又は航空機による旅客又は貨物の運送の事業
労働時間および休憩時間のテンプレート
第〇〇条 休日および休暇は、次のとおりとする。
① 土曜日および日曜日
② 国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日)
③ 年末年始休暇(12月_日~1月_日)
④ 夏季休暇(_月_日~_月_日)
⑤ その他会社が指定する日
2 業務の都合により会社が必要と認める場合は、あらかじめ前項の休日を他の日と振り替えることがある。
『休日および休暇』では何曜日を休日にするか、年末年始休暇や夏季休暇について具体的に記載する必要があります。
時間外および休日労働等のテンプレート
第〇〇条 業務の都合により、第〇〇条の所定労働時間を超え、又は第〇〇条の所定休日に労働させることがある。
2 前項の場合、法定労働時間を超える労働又は法定休日における労働については、あらかじめ会社は労働者の過半数代表者と書面による労使協定を締結するとともに、これを所轄の労働基準監督署長に届け出るものとする。
3 妊娠中の女性、産後1年を経過しない女性労働者(以下「妊産婦」という)であって請求した者及び18歳未満の者については、第2項による時間外労働又は休日若しくは深夜(午後10時から午前5時まで)労働に従事させない。
4 災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合には、第1項から前項までの制限を超えて、所定労働時間外又は休日に労働させることがある。ただし、この場合であっても、請求のあった妊産婦については、所定労働時間外労働又は休日労働に従事させない。
『時間外及び休日労働等』では時間外労働や休日労働が発生する可能性があることを記載しなければなりません。ここで明確に記載しておかないと、従業員は時間外労働や休日労働を法的に拒否することができます。
また、時間外労働や休日労働を規定する場合、次の賃金規定で残業代や休日出勤代について明確にしておく必要があります。
賃金の計算期間および支払日のテンプレート
第○○条 賃金は、毎月_日に締め切って計算し、翌月_日に支払う。ただし、支払日が金融機関休業日に当たる場合は、その前日に繰り上げて支払う。
2 前項の計算期間の中途で採用された労働者又は退職した労働者については、月額の賃金は当該計算期間の所定労働日数を基準に日割計算して支払う。
賃金の支払と控除のテンプレート
第○○条 賃金は、労働者に対し、通貨で直接その全額を支払う。
2 前項について、労働者が同意した場合は、労働者本人の指定する金融機関の預貯金口座又は証券総合口座へ振込により賃金を支払う。
3 次に掲げるものは、賃金から控除する。
- 源泉所得税
- 住民税
- 健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の保険料の被保険者負担分
4 労働者代表との書面による協定により賃金から控除することとした社宅入居料、財形貯蓄の積立金及び組合費
昇給のテンプレート
第○○条 昇給は、勤務成績その他が良好な労働者について、毎年_日_日をもって行うものとする。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合は、行わないことがある。
2 顕著な業績が認められた労働者については、前項の規定にかかわらず昇給を行うことがある。
3 昇給額は、労働者の勤務成績等を考慮して各人ごとに決定する。
割増賃金のテンプレート
第○条 時間外労働手当、休日労働手当、深夜労働手当
1 割増賃金は、次の算式により計算して支給する。
① 時間外労働手当(法定労働時間を超えた場合 1ヶ月45時間以下の場合)
{(基本給+諸手当)÷ 1ヵ月平均所定労働時間数} ×1.25×法定時間外労働時間数
・時間外労働が1ヶ月45時間超~60時間以下の部分については ×1.35
・時間外労働が1ヶ月60時間を超える部分については ×1.50
・時間外労働が1ヶ月360時間を超える部分については ×1.40
② 休日労働手当(法定休日に労働させた場合)
{(基本給+諸手当)÷ 1ヵ月平均所定労働時間数} ×1.35×法定時間外労働時間数
③ 深夜労働手当(午後10時~午前5時の間に労働させた場合)
{(基本給+諸手当)÷ 1ヵ月平均所定労働時間数} ×0.25×深夜労働時間数
退職のテンプレート
第○○条 前条に定めるもののほか、労働者が次のいずれかに該当するときは、退職とする。
① 退職を願い出て会社が承認したとき、又は退職願を提出して_日を経過したとき
② 期間を定めて雇用されている場合、その期間を満了したとき
③ 第〇条に定める休職期間が満了し、なお休職事由が消滅しないとき
④ 死亡したとき
2 労働者が退職し、又は解雇された場合、その請求に基づき、使用期間、業務の種類、地位、賃金又は退職の事由を記載した証明書を遅滞なく交付する。
解雇のテンプレート
第○○条 労働者が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。
① 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、労働者としての職責を果たし得ないとき。
② 勤務成績又は業務能率が著しく不良で、向上の見込みがなく、他の職務にも転換できない等就業に適さないとき。
③ 業務上の負傷又は疾病による療養の開始後3年を経過しても当該負傷又は疾病が治らない場合であって、労働者が傷病補償年金を受けているとき又は受けることとなったとき(会社が打ち切り補償を支払ったときを含む。)。
④ 精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき。
⑤ 試用期間における作業能率又は勤務態度が著しく不良で、労働者として不適格であると認められたとき。
⑥ 第○○条に定める懲戒解雇事由に該当する事実が認められたとき。
⑦ 事業の運営上又は天災事変その他これに準ずるやむを得ない事由により、事業の縮小又は部門の閉鎖等を行う必要が生じ、かつ他の職務への転換が困難なとき。
⑧ その他前各号に準ずるやむを得ない事由があったとき。
2 前項の規定により労働者を解雇する場合は、少なくとも30日前に予告をする。予告しないときは、平均賃金の30日分以上の手当を解雇予告手当として支払う。ただし、予告の日数については、解雇予告手当を支払った日数だけ短縮することができる。
3 前項の規定は、労働基準監督署長の認定を受けて労働者を第○○条に定める懲戒解雇する場合又は次の各号のいずれかに該当する労働者を解雇する場合は適用しない。
① 日々雇い入れられる労働者(ただし、1か月を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)
② 2か月以内の期間を定めて使用する労働者(ただし、その期間を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)
③ 試用期間中の労働者(ただし、14日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)
4 第1項の規定による労働者の解雇に際して労働者から請求のあった場合は、解雇の理由を記載した証明書を交付する。
相対的必要記載事項の作り方
相対的必要記載事項で記載した方が良い項目について解説します。
退職金の支給のテンプレート
第〇〇条
勤続__年以上の労働者が退職し又は解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金を支給する。ただし、自己都合による退職者で、勤続__年未満の者には退職金を支給しない。また、第〇〇条第〇項により懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことがある。
2 継続雇用制度の対象者については、定年時に退職金を支給することとし、その後の再雇用については退職金を支給しない。
退職金の額のテンプレート
第〇〇条
退職金の額は、退職又は解雇のときの基本給の額に、勤続年数に応じて定めた下表の支給率を乗じた金額とする。
勤続年数 | 支給率 |
○年未満 | 1.0 |
○年~○年 | 3.0 |
○年~○年 | 5.0 |
2 第〇条により休職する期間については、会社の都合による場合を除き、前項の勤続年数に算入しない。
『退職金の支給』と『退職金の額』では勤続年数に応じてどれくらいの退職金を支払うかを記載しなければなりません。また、退職金額の勤続年数や支給率についても任意で決めることができます。
表彰のテンプレート
第〇〇条
会社は、労働者が次のいずれかに該当するときは、表彰することがある。
① 業務上有益な発明、考案を行い、会社の業績に貢献したとき。
② 永年にわたって誠実に勤務し、その成績が優秀で他の模範となるとき。
③ 永年にわたり無事故で継続勤務したとき。
④ 永年にわたり無違反で継続勤務したとき。
⑤ 前各号に準ずる善行又は功労のあったとき。
2 表彰は、原則として会社の創立記念日に行う。また、賞状の他、賞金を授与する。
懲戒の種類のテンプレート
第〇〇条
会社は、労働者が次条のいずれかに該当する場合は、その情状に応じ、次の区分により懲戒を行う。
① けん責
始末書を提出させて将来を戒める。
② 減給
始末書を提出させて減給する。ただし、減給は1回の額が平均賃金の1日分の5割を超えることはなく、また、総額が1賃金支払期における賃金総額の1割を超えることはない。
③ 出勤停止
始末書を提出させる他、__日間を限度として出勤を停止し、その間の賃金は支給しない。
④ 懲戒解雇
予告期間を設けることなく即時に解雇する。この場合において、所轄の労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告手当(平均賃金の30日分)を支給しない。
懲戒の事由のテンプレート
第〇〇条
労働者が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出勤停止とする。
① 正当な理由なく無断欠勤が__日以上に及ぶとき。
② 正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退したとき。
③ 過失により会社に損害を与えたとき。
④ 素行不良で社内の秩序及び風紀を乱したとき。
任意的記載事項の作り方
任意的記載事項には一般的に会社の服務規定を書くことが多いです。また、運送事業者の場合は運転中のルールなどを書いておくことをおすすめします。
例えば、『飲酒運転をした場合』や『シートベルト未着用などの道路交通法を違反した場合』にどのような懲戒があるのかを記載します。
また、会社が所有しているバスやトラック、タクシーなどを損傷させた場合、修理費用はどうなるのかについても明確にしておくことがポイントです。
労働者への周知義務
作成した就業規則は従業員に周知しなければならないと決まっています。また、周知方法についても法律で定められているため、ポイントを押さえておきましょう。
- 就業規則を作成する際は従業員の代表者と意見を交わさなければならない
- いつでも就業規則の内容を知ることができる状態にしておかなければならない
以上の2点を守らなければ就業規則の効力が認められないことがあります。
就業規則を見やすい場所に貼りだしたり、インターネット上で見られるようにしたりなど、いつでも確認できるようにしておかなければならないのです。さらに、従業員に就業規則が書かれた書面を渡すという方法もあります。
いずれにせよ、いつでも見られる状態にしておくというのがポイントとなるため、周知方法には注意が必要です。
まとめ
就業規則は労働基準法で定められており、従業員が10名以上いる会社は作成義務があり、管轄の労働基準監督署に提出しなければなりません。
しかし、10名未満の会社であっても、就業規則があることで様々なトラブルを回避することができます。
特に自動車運送事業者の場合、拘束時間や運転マナーなどをめぐり、トラブルになってしまいがちです。そのため、あらかじめ就業規則を作成しておくことで、トラブルを回避することができ会社と従業員を守ることができるのです。
SBサポートの月額料金プランにご加入いただくと、規制・法律に関することを運送業に強い社会保険労務士にご相談いただけます。調べてみたけどよくわからない、専門的なアドバイスが欲しいなど、御社のお悩みにあわせた解決案を模索・提示させていただきます。
しみずハート社会保険労務士事務所代表 / 社会保険労務士 / ファイナンシャルプランナー
『労使ともにハッピーになれる職場づくり』を目指す。