貸切バス事業の許可更新

貸切バス(一般貸切旅客自動車運送事業)の許可更新で行われる法令試験について、概要や試験内容、効率的な勉強法を解説

貸切バスの事業更新の法令試験

貸切バス事業(一般貸切旅客自動車運送事業)の運営業者は5年に1度、管轄の運輸局にて許可更新申請を行わなければなりません。また、許可更新申請を行うには事業者の代表者が法令試験に合格しなければならないという条件があります。

そこで、本記事では貸切バスの事業の許可更新で行われる法令試験について解説していきます。

筌場 勇成
この記事の監修者
筌場 勇成

2017年2月 行政書士試験に合格。2017年10月 特定行政書士研修を修了し考査に合格。運送業者を中心に関与する。

法令試験の概要【2021年度】

受験者 代表権を持つ常任役員
※個人事業主の場合は申請者本人、合同会社の場合は代表社員
試験実施日 許可更新の有効期限満了日を含む月に実施
※新規で許可申請を受ける場合は月に1回の実施
出題内容
  • 道路運送法、旅客自動車運送事業運輸規則から貸切バス事業を運営する上で必要な知識とルールが出題
  • 「一般旅客自動車運送事業の遂行に必要な法令」ガイドラインから出題
会場 管轄の地方運輸局で行われます。
※新型コロナウィルスの影響により支局での実施となる場合もありますので、事前にご確認ください。
合格率 管轄の運輸局によって出題傾向が異なり、開催月によっても合格率が異なります。
【関東運輸局】
平成30年7月:30.3%
令和元年7月:84%
令和2年7月:77.7%

【関西運輸局】
平成30年7月:57.1%
令和元年7月:44.9%
令和2年7月:79.3%

関東運輸局および九州運輸局は全国的にも試験の難易度が高いと言われています。しかし、開催月によって合格率のバラつきがあるため、出題範囲をすべて網羅した対策が必要となります。
勉強時間の目安 個人差がありますが、30時間から50時間の学習が必要となります。

法令試験の出題範囲

道路運送法関係

①道路運送法

道路運送法に基づく言葉の定義や条文の解釈などが出題されます。

たとえば、道路運送法第3条の「一般貸切旅客自動車運送事業」の言葉の意味については頻出問題です。

②道路運送法施行令

主に整備や整備管理者に関する問題が出題されます。

過去には「整備管理者は、法令に定める方法で行つた日常点検の結果に基づき、運行の可否を決定しなければならない。」についての○×問題が出題されました。

③道路運送法施行規則

乗務員の休憩、仮眠などの道路運送法に基づく実際の施行規則について出題されます。

乗務員の休憩または仮眠の施設について、その施設に関する届け出義務の有無などについて出題されることが多いです。

④旅客自動車運送事業運輸規則

旅客自動車運送事業を行う上で必要なルールについて出題されます。

たとえば、従業員を試用期間を定めて雇用する場合や各言葉の定義について出題されます。

⑤旅客自動車運送事業等報告規則

事業報告書の運用規則に関して出題されます。

特に事業報告書の提出期間や時期について出題される傾向にあります。

⑥自動車事故報告規則

自動車事故の報告に関する問題が出題されます。

万一の事故発生時に国土交通省に報告しなければならない事項について出題されることが多いです。

⑦一般貸切旅客自動車運送事業標準運送約款

運送申込書の提出や運送契約および乗車券に関する内容が出題されます。

この項目では幅広い知識が必要となりますが、特に乗車券や運賃に関する内容が出題傾向にあります。

道路運送車両法関係

①道路運送車両法

道路運送車両法に基づいた内容が出題されます。

車検証や検査標章に関する内容、整備管理者の選任に関する内容などが出題されます。

②道路運送車両法施行令

保安基準適合証の記載事項についての内容が出題されます。また、道路運送車両法で定められている言葉の定義についての内容も出題傾向にあります。

③道路運送車両法施行規則

整備管理者による点検の実施内容や運行の可否基準などについて出題されます。

④道路運送車両の保安基準

道路運送車両法で定められている保安基準の細かい内容について出題されます。

一般旅客自動車運送事業の遂行に必要な法令

①運送事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン

運送事業者の安全管理体制や内部監査、安全管理に関する文章の作成方法や記録方法に関して幅広く出題されます。

②旅客自動車運送事業運輸規則第47条の7第1項の規定に基づき、旅客自動車運送事業者が公表すべき運送の安全に係る事項(国土交通省告示第1089号)

国土交通省告示第1089号の内容が穴埋め問題として出題される傾向にあります。

③自動車運転者の労働時間等の改善のための基準

アルコールチェックや運転者の1日の流れなどについて出題されます。また、拘束時間や休憩時間の定めについても出題されることが多いです。

④輸送の安全を確保するための貸切バス選定・利用ガイドライン

旅行業者や学校関係者が貸切バスを選定および利用するにあたってのガイドラインが作成され、そのガイドラインから行程検討の留意点や契約の留意点について出題されます。

⑤その他一般旅客自動車運送事業の遂行に必要な法令等

道路交通法や道路運送車両法から一般旅客自動車運送事業を運営する上で必要な法令知識について出題されます。言葉の定義はもちろん、運転者の労働時間や整備管理者の選任など幅広く出題されます。

効率的な勉強方法

法令試験の合格基準は出題数が30問〜40問の内、正答率90%以上となっています。しかし、各法令や施行令、規則やガイドラインをすべて暗記することは現実的に難しいです。

そのため、過去の問題を解いて出題傾向を理解することがポイントです。

貸切バス事業の許可更新申請の法令試験については各運輸局によって出題傾向が異なります。したがって、管轄の運輸局の出題傾向を把握して重点的に学習することが大切です。

また、道路運送車両法や道路運送法の内容から出題されるのが各運輸局の共通点です。

つまり、道路運送車両法および道路運送法を重点的に学習しつつ、過去問題を解くことで合格へと近づくことが可能です。

まとめ

貸切バス事業の許可更新を受けるには代表者が法令試験に合格しなければなりません。試験に合格するには正答率90%を超えなければならず、試験合格のハードルが高いと言えます。

そのため、試験日に合わせて最低でも30時間以上の学習時間を取るようにして試験に挑むことをおすすめします。

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