貸切バス事業を運営するには整備管理者を選任しなければなりません。ただし、誰でも整備管理者になれるというわけではなく、定められた条件に満たす必要があります。
そこで、今回は貸切バス事業を運営する際に必要な整備管理者の条件や選任届の書き方、さらに選任届の提出手順について解説していきます。
貸切バス事業における整備管理者とは?
整備管理者は、事業に使用する自動車(バス)が問題なく走行できるかを適切に点検、整備を行う重要な役割を担っています。日常点検はもちろん、法律で定められた定期点検も管理しなければなりません。
また、事業に使用する自動車以外にも、車庫の管理も行う必要があります。事業用自動車を保管する車庫に不備がないかを管理する業務も行います。
整備管理者としての条件
整備管理者を選ぶ際は法律で定められた条件に満たす必要があります。
【整備管理者としての条件】
- 自動車整備士1級
- 自動車整備士2級
- 自動車整備士3級
- 整備管理対象の自動車と同じ種類の自動車の点検、整備または整備管理の実務経験が2年以上あり、管轄の運輸局長が定める研修を修了した者
上記のいずれかに満たしていれば、整備管理者になることができます。
自動車整備士の資格を保有している場合は実務経験がなくても整備管理者になることができます。
貸切バスで必要な整備管理者の人数
貸切バス事業を運営する上で必要な整備管理者の人数は1名以上です。特に事業用自動車の台数によって必要な人数が変わるわけではありません。
そのため、1名以上を選任していれば問題ありません。
整備管理者の選任届の書き方
整備管理者を選任する際、「整備管理者選任届出書」を作成する必要があります。
1.該当箇所に〇印をつける
表題にある「整備管理者(選任・変更・廃止)」から該当する項目を選び、〇印で囲みます。たとえば、整備管理者を変更するのであれば、「変更」、新たに選任するのでれば「選任」に〇をつけます。
2.氏名、住所などの必要事項を記入
届出者名や住所、電話番号などを記入します。その他、整備管理者の氏名や生年月日などについても記入します。
3.兼職、職務内容の記入
選任された整備管理者が他の職務と兼任している場合、「有」に〇をつけ、職名と職務内容を記入します。特に兼任しない場合は「無」に〇をつけます。
4.被選任者の同意書
被選任者の同意書欄には、整備管理者に選ばれた人の氏名を記入し、最後の□にチェックをつけます。
5.自動車数
届出書右側の自動車数欄には事業用自動車として登録している自動車の台数を記入します。この際、会社全体の台数ではなく、「使用の本拠の位置」で登録している台数を記入しなければなりません。
6.整備管理者の資格要件
該当する整備管理者の資格要件に〇をつけます。そして、整備士資格保有者については「整備士」欄の記入を行います。
また、2年以上の実務経験者については「点検整備、整備管理者又は整備管理の経験」欄の必要事項を記入します。さらに、実務経験者は「選任前研修」欄に照明番号と研修実施日を記入しなければなりません。
整備管理者の選任届出の手順
整備管理者を選任したら、15日以内に管轄の運輸支局に提出する必要があります。また、整備管理者の資格要件に応じた添付書類が必要になるため、事前に確認しておきましょう。
【添付書類】
(自動車整備士の場合)
- 自動車整備士技能検定合格証書等(写)
- 道路運送車両法第53条に基づく解任命令により解任され、2年を経過しない者でないことを信じさせるに足る書面
※「2.」については、以下からダウンロードできる「整備管理者選任届出書に添付する書面」を記入して提出すれば問題ありません。
https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/jidou_gian/seibikanrisya/index.html
まとめ
貸切バス事業を運営するには1名以上の整備管理者を選任する必要があります。また、自動車整備士資格保有者や整備や整備管理の実務経験が2年以上ある者から選ぶ必要があります。
ただし、自動車整備士資格を保有していない者については管轄の運輸支局が定めた研修を受ける必要があるため、注意が必要です。
さらに、整備管理者を選任してから15日以内に必要書類を提出する必要があるため、選任後は速やかに書類の作成を行いましょう。